しまりす日和ー”Janteloven”「ヤンテの法則」について考える

こんにちは。

 

初めての記事は、"Janteloven"-'The law of Jante'「ヤンテの法則」について書きたいと思います。

 

デンマークでこれから生活する人はもちろん、旅行に行かれる予定の方も

この「ヤンテの法則」を知っているとまた違ったデンマークを垣間見ることができるかもしれません。

 

「ヤンテの法則」はときに「ヤンテの掟」とも和訳されますが、内容は下記の10箇条になります。

1. Don’t think you’re anything special
(自分を特別だと思うな)
2. Don’t think you’re as good as us

(自分も他人と同じくらいだと思うな)
3. Don’t think you’re smarter than us

(自分の方が他人よりも賢いと思うな)
4. Don’t convince yourself that you’re better than us

(自分の方が他人より優れているとうぬぼれるな)
5. Don’t think you know more than us

(自分の方が物事を知っていると思うな)

6. Don’t think that you are more important than us

(自分の方が他人より重要だと思うな)

7. Don’t think that you are good at anything

(自分が何か得意だと思うな)

8. Don’t laugh at us

(他人を笑うな)
9. Don’t think anyone cares about you

(他人が自分のことを気にしてくれていると思うな)
10. Don’t think you can teach us anything

(他人に何かを教えることができると思うな)

 

和訳は他にもいろいろあるのですが、だいたいはこのようなことを言っています。

この考え方は、Aksel Sandemoseが1933年に書いた小説の中に出てくる架空の町の人々の生き方が由来となっています。

そして、デンマーク人の考え方の根底にあるのがこの掟だそうです。

そのためデンマーク人の価値観について考える際にこの「ヤンテの法則」を外すことはできません。

 

 

具体的には、「見せびらかすこと」を嫌います。

たとえば、お金持ちであることが他人に分かるような格好をすることを良しとしないといった感じです。

たしかに街を歩いていても、みんな地味な感じの格好が多い気がします。

女の子も、あまりスカートをはいている子は少なく、男女ともにセーターにジーンズといったシンプルな着こなしが主流です。みんなどちらかというと黒っぽい服を着ているような気がします。

(脚が長くてスタイルがいいのでシンプルな服装もお洒落に見えるのが羨ましいです(笑))

 

「ヤンテの法則」の話を聞いたときに、ふと頭をよぎったのが「能ある鷹は爪を隠す」と「出る杭は打たれる」です。

日本人の価値観と少し似ているような気がしました。

(「ヤンテの法則」はかなり厳しい気がしますが。。。。)

日本では海外へ行ったら、自己主張しないとおいていかれるよ!などということをよく聞くと思いますが、デンマークでは常に前に出ることは望まれません。デンマーク人とお話することがある際は少しこの点について、知っておくといいかもしれません。

 

「ヤンテの法則」はデンマーク人以外の外国人にとっては考えられない、なじみのないもののようで、移民の統合の際に少し問題になるそうです。

自分が何か人よりできると考えることを良しとしないため、履歴書の書き方にも外国人は苦労することがあるそうです。

自己主張の強い外国人vs自己主張を良しとしないデンマーク人 

的な対立があるそうです。

(これに関して詳しく知りたい方はぜひこの論文をお読みください↓

Stokes-DuPass, Nicole (2015) “ The Manufacturing of and Making Claims to Danishness”
& Conclusion(online) And Broader Implications: Where Do We (They Go From Here? in
Integration and New Limits on Citizenship Rights: Denmark and Beyond, Palgrave Macmillan.)

 

半年間デンマークで生活して感じるのは、デンマーク人は決して派手な生活をしていないということです。派手な娯楽施設も少ないですし(わたしが知らないだけかもしれないけど)。

質素倹約でありつつ、日々の生活の質は高く過ごすのがデンマーク流なのかなと感じています。

自分の身の丈に合った生活を大事にするのは、この「ヤンテの法則」由来のものなのではないでしょうか。

 

この前、デンマーク人の友人(23)は「妹(19)の世代の子は”Janteloven”のことをあまり気にしなくなってきている。」とも言っていましたが、およそ1世紀もの時間をかけて人々の間に浸透した”Janteloven”はまだまだデンマークの人々の規範であり続けると思いました。